マメムギモリノナカ公式サイト

2020/08/20 21:35

丸森町の特産品はタケノコです。地域の特産品を揃えたあるお店では、初タケノコが出る日をお客さんが予想して投票するようなイベントも行われており、春の楽しみとなっています。


良いタケノコを育てるには竹林の整備が欠かせません。「番傘を差して歩けるくらい」の隙間を作って、十分に日の光が当たるように気を配る必要があるのです。しかし竹の成長は早く、一日に1mも伸びることがあります。また放っておくと他の土地をもどんどん浸食していくため、こまめな手入れが必要となります。

伐採した竹の活用法について丸森町の住民の方も積極的に取り組んでいます。竹細工として箸を作ったり、きれいなカゴやザルを編む方もいます。

私自身も以前からサスティナブル素材として竹素材に興味を持っていたのですが、伐採から加工までの工程を考えるとハードルが高く感じていました。そんな折に、石塚養蜂園の石塚裕美さんから、「竹で布を染めたんだけど、使ってみない?」と声をかけて頂きました。石塚裕美さんは、蚕から採った糸をつむいだり、それを丸森の自然素材から頂いた色で染めたりと、丸森素材の使い手として尊敬する存在です。


初めて頂いた布は4月に染められた布で、黄色味がかったグリーンのきれいな色をしていました。「タケノコを生み終わったあとの葉は疲れて黄色くなるんだけど、それでもこんなに美しい色をだすんだよ。季節が変わったら色味も変わってくるから」と言われ、その美しさと面白さに一気に引き込まれてしまいました。

私の中では、色味が変化するといっても、よくよく見ないとわからない程度の微細な変化なのではないかなと思っていました。ですが、3か月後に染められた布は全く違う色をしていました。


優しい淡いクリーム色です。今年の丸森町は長梅雨だったため日照時間が少なく、葉は若い黄緑色をしていたそうです。今年の丸森の初夏の様子がここに表れていると思うと、本当に感動します。ミツロウをコーティングしていくと艶と黄色味が足されゴールドのような色合いになりました。


tsu tsu miを通して、丸森の風土や気候、この町に住む素晴らしい作り手の方についてお伝えできるのはとても嬉しい事です。

現在の丸森町は連日気温が高く、葉も青々と生い茂っています。その様子も次の染めに記憶されていきます。私自身もワクワクしながら次の染めをまちわびています。
2020/8/21